地域振興の道しるべ

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移住したくなる街とは?

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 2年前鹿児島県の甑島(こしきじま)を旅したときのことです。島内の路地を歩いていると、すれ違う島の人たちがみんな旅行者である私達に挨拶をしてくれるではないですか。その上、子供たちときたら、一瞬立ち止まって腰を折ってまで挨拶してくれます。日本にもまだこんなところがあったのかと甚く感心したものです。

 また、おもてなしの島とも形容される五島列島小値賀島(おぢかじま)では、他の多くの離島で過疎化が進む中、同島の古民家ステイで味わった島の人々とのふれあいが忘れられず、近年移住者が増えて人口がプラスに転じた年もあったと言います。

 人口減少の続く自治体としては、地域の衰退を止めるため、移住者にたくさん来て欲しいことでしょう。しかし、どこに移住しても移住者が暖かく迎え入れてもらえるとは限らないようです。

 人が新しい街に移り住んでみたいと思う動機は何なのか。それは旅行してみたら、その土地の人達が暖かく接してくれたとか、すごく親切にしてもらえたとか、笑顔が良かったとか、やっぱり一番の魅力はそこに住む人々にあるのではないでしょうか。

 誰しも自分の住む街が衰退してなくなってしまえばいいなんて思わないはず。だったら自分たちの街は、旅行者や移住者に対して親切に接してみようと官民協力してそのような運動から始めてみるのも一つの手です。

 これはそこに住まう人々が、自分が生きている間のことだけを考えていてはうまくいきそうもありません。そこには郷土愛というものが欠かせないでしょう。

 一度は街を出ていった息子や娘がやがて戻ってきたくなる街、一度旅行や転勤でやって来た人たちが将来はここに移り住んでみたいと思わせるような街、そんな街づくりを目指してはみませんか。街ぐるみで外来者に親切にしたところで大きな予算が要るわけでもありません。

 甑島小値賀島の人々は、ただ豊かな自然や美味しい食材があるだけでは人々の集う、より良い地域にはならないよ、というヒントを与えてくれているように思います。

 

写真:下甑島の旧武家屋敷通り 「こしきツアーズ」のHPより借用しました。