地域振興の道しるべ

地域振興の具体的なアイデアを公開するブログ

雑木林の美しさに気づき始めた人々

f:id:tokumasu1959:20200911000731j:plain

 いまや大人気の黒川温泉も一時は衰退の危機に瀕していたそうです。その黒川温泉が危機から救われたのは、とある旅館のご主人が庭木をすべて雑木に植え替えたことに始まります。やがてその旅館は大人気となり、その後同温泉の他の旅館も庭木を雑木に替えるようになりました(以上最近テレビで知った内容)。

 おそらく最初に雑木を植え始めた旅館のご主人は雑木の種類ごとの良さや雑木林が人の心に与える影響を直感的に身につけておられたのではないかと想像します。決して雑木であれば何でもいいという発想ではなかったでしょう。いまの黒川温泉を見ているとそう感じます。

 冬に緑がなくなると淋しそうだからと言って常緑樹ばかり植えると、そこは深緑色の重苦しい雰囲気の庭になってしまいます。日本は元々落葉樹メインの国。植えられた木々であっても冬には葉が落ちて冬らしく感じられるのが季節感というものでしょう。落葉樹メインであれば春には萌黄色や新緑が楽しめ、夏にも葉を透過する柔らかな緑の光線や木漏れ日がお庭や露天風呂に降り注ぎます。

 そして一部の木は秋には鮮やかに紅葉。かと言ってもみじだけ植えていたのでは本当の自然らしい林にはなりません。いま多様性があり季節によってその表情を変えてくれる雑木林の素晴らしさに人々が気づき始めています。子どものころ、雑木が役に立たないモノの代名詞のように言われていたのが嘘のようです。

 そして、黒川温泉は温泉街そのものが雑木林という自然の中にあるかのように生まれ変わりました。当初から雑木林の美しさがお客さんにも受け入れられると信じ、温泉街への融合を図られたご主人には脱帽です。

写真は黒川温泉公式サイトより借用しました。