地域振興の道しるべ

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見直される簡素な美

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 4年前天皇陛下が海外の要人と面会されるご様子とその部屋の写真を掲載されたFacebook記事がネット上で話題となりました。話題の焦点はその部屋があまりにも簡素であるということでした。このような飾らない簡素な美しさへの指向というのは日本独特のものだったようです。それゆえ、上の写真を見てハッとさせられた外国人が多かったのだと思われます。

 

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 また、簡素と言えば、最近開店もしくは改装した日本の店舗を街角で観察してみると、やたらと目につくようになったのが上の写真にあるようなモルタル調の壁です。モルタルと言えば灰色で、取り立てて言うほどの飾り気もありません。そこには自然な感じのコテムラがあるだけです。なぜそのような壁が好まれるようになったのでしょうか。私はこの現象をちょっと期待し過ぎかも知れませんが、大和心の回帰ではないかと感じております。

 本居宣長は大和心のことを「はかりごとを加えず善悪ともにありのままのさまを尊ぶ素直な態度」として漢意(からごころ)との区別をしています(Wikipedia)。きっと日本人は古来より、虚飾によって飾り立てられたものよりも、無理に飾り立てない自然な状態の中にある美を尊んできたのでしょう。

 柳宗悦が民衆の生活の中で実用のために作られた陶器のデザインなどを高く評価していた「用の美」の世界に一歩近づいたと言いますか、時代はそんな方向に向かって歩みだしたかのようです。

 地域おこしにおいてもこの時代の流れは認識しておかれた方が良さそうに思います。