地域振興の道しるべ

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見過ごされてきた観光資源の開発

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 「いまは誰一人見向きもしないヒースの荒野も、遠い将来観光客が大挙して押し寄せてくるだろう。」そんなくだりがトーマス・ハーディの小説の中に書かれていたような記憶があります。(学生時代に読んだ英語のテキストだったので、記憶違いだったらごめんなさい。)

 ハーディの生きた1800年代、英国でありふれたヒースの荒野に魅力を感じた人など殆どいなかったことでしょう。しかし、小説家であると同時に詩人でもあったハーディの目は違ったようです。

 日本にはススキの原野が各地にありますが、そんなところに観光客が押し寄せることになろうとは、その昔誰が予想できたでしょう。関西では兵庫の砥峰高原や奈良の曽爾高原など、いまでこそよく知られたススキの名所ですが、昔はわざわざススキの原野を見にそんな所へ行こうとする人など殆どいなかったはずです。

 どんな素晴らしい光景も昔からそこに住まう人には当たり前の景色として映ってしまいがちです。雲海で有名になった竹田城跡や臨海工業地帯にある化学プラントの夜景クルーズなど近年になってその良さが見直された好例ですね。景色に限らず、何か当たり前のこととして地元の宝を見過ごしてはいないか、そこには詩人のように素直な心で、ありのままを感じ取れる感性が必要とされるのかも知れません。人生詩を嗜んでみるのも悪くはなさそうです。

 そして、これはと思うものを見つけられたときには、たとえ誰にも注目されていなくても、自分の感性を信じてその良さを伝える努力をしてみませんか。その良さを理解してくれる時代がすぐそこに待ってくれているかも知れませんよ。