地域振興の道しるべ

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原発をローテクでミサイルから守る

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「汝平和を欲さば、戦への備えをせよ」古代ローマ時代に遡るとされるラテン語の格言

 

 一昔前の戦争で重宝がられた戦士と言えば勇敢で筋骨隆々な男たちでした。いまやそれがドローンを如何に巧みに操縦できるかというオタクと呼ばれるような存在にとって代わろうとしています。モニタを見てリモコンを手にして戦争を行うわけですから時代も変わったものです。ひょっとしたらeスポーツの振興に力を入れている国家は、戦士育成を目的としているのかも知れません。

 今から30年以上も前のことですが、私が原子力発電所を初めて間近に見たときに驚いたこと、それは海から原子炉の建屋が丸見えだということでした。その時代ですら、もしも潜航艇が海岸近くで浮上してロケット弾を打ち込んだらどうなるのだろう?そんな不安が私の脳裏をかすめたものです。そしていま、日本の原発巡航ミサイルや自爆ドローンと言った新たな脅威に曝されています。

 日本では原発の冷却水を海水に頼っているため、原発が立地しているのは海沿いばかりです。建設計画時から周囲の島や半島をうまく利用して、せめて海側からは死角になるように建設されておればまだ良かったのですが、残念ながら日本の原発にそのような配慮は見られません。

 遠くから飛んでくる戦闘機やミサイルは日本のレーダー網で捕捉できるのでしょうが、近海から発射されて海面すれすれに飛んでくる巡航ミサイルやロケット弾、自爆ドローンなどは事前に察知して防御することが極めて難しい兵器です。ドローンに関してはレーザー光線やマイクロ波による防御策があるそうですが、これらは将棋に例えれば飛車角の働きをします。

 しかし、防御に関しては、これらの方法だけで安心というものではなく、将棋の金銀の役割を担うような防御策も備えておきたいところです。山で原発や原子炉棟を囲うというのは、まさに金銀に相当する防御策ですが、山がないのならそれに準じた囲いを造るべきではないでしょうか。

 私がぜひ実施して欲しいと考えている防御策は、周囲360度を原子炉棟よりも背が高い電柱のような柱を立てて剣山のような森で囲うことです。少なくとも海側には必要でしょう。もちろん、柱の隙間をロケット弾等がすり抜けられないような配置を施します。これなら、ミサイルを2、3発食らったところで目標物までは到達しないでしょうし、原子炉の緊急停止措置を講じるための時間稼ぎにはなりそうです。この柱の森は巡航ミサイル、ロケット弾、飛行機型ドローンに対して有効と思われます。

 もう一つの厄介な存在は、マルチコプター型のドローンです。これは真上や背後からの攻撃が可能であるため、原子炉等の死守すべき建屋をケージやワイヤーで覆うくらいしか直撃を免れる手立てが思い当たりません。当然、ケージ等に接触したときにドローンの多くは爆発するのでしょうが、爆発する位置を少しでも目標物から遠ざけることができる分、被害を軽減できるはずです。

 あと、原子炉の冷却に使う緊急用発電設備ですが、原発から数キロメートル以上離れた場所に設置し直し、地中配管から原発に給電するような仕組みはぜひとも構築して欲しいものです。これは設置場所の標高も考慮すれば津波対策にもなります。

 もしも原発が爆破されるようなことになれば、周辺地域は振興の道を絶たれるどころか、当分人の居住すら許さない土地と化してしまいます。そのため、原発攻撃は占領後の土地の利用価値がなくなるので、敵国はそのような暴挙に出ないという論者もおられます。しかし、国と国とが冷静さを失った結果として起こる戦争において、そのような楽観論で大丈夫とは言い切れません。原発の多くが建設された昭和後期と比べ、戦争リスクはかなり高まっています。

 国が平和であってこその地域振興ですから、その前提を損なうことのないよう、戦争やテロを想定せずに造られた原発はいますぐその対策を講じていただきたいものです。

写真出典:関西電力