地域振興の道しるべ

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キャッチコピー、喩えに使うものは魅力的か

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 「河内晩柑」一昔前は全国的には流通していなかった柑橘ですが、これほど地方によって呼び名の異なる品種を私は知りません。美生柑、宇和ゴールド、ジューシーオレンジ、ジューシーフルーツ、愛南ゴールド、晩柑などなど。名前がバラバラだったせいか、人気の株が全国に広まることなく、産地ごとに遺伝子が大きく違っているのか微妙な味の違いを楽しめるのがこの品種の面白いところです。

 近年、じわじわと人気の出てきた河内晩柑ですが、どんな柑橘なのか知ってもらおうとしてよく使われているキャッチコピーがいまだに「和製グレープフルーツ」です。確かにグレープフルーツは、昭和の時代から親しまれてきた柑橘ですので、多くの人が味をイメージしやすいコピーだったのかも知れません。

 しかし、グレープフルーツがいま置かれた状況を考えてみてください。スーパーの売場を見渡してもグレープフルーツは、購入する人が減ったとみえて昔のようには並んでいません。それは日本の柑橘農家の努力により、もっと魅力的な品種が沢山登場してきたからでしょう。要はグレープフルーツは、かつてはメジャーであったけれどもいまでは人気落ち目のマイナーな品種と化してしまったのです。

 これから売り出そうとする期待の新人女優が、いくら往年の大女優に似た雰囲気をしていたとしても、その大女優が人気下降中だったとしたら、その大女優に喩えて紹介したりするでしょうか。

 やはり新しい品種を何かに喩えてコピーを作る場合、喩えに使われるものは、現在も色褪せることなく魅力を維持していないと、新品種はマイナスイメージを受けかねません。河内晩柑も「なんだグレープフルーツみたいなものか」とは思われないようなキャッチコピーを冠していたなら、市場で人気がでるのはもっと早かったと思えてならないのです。

 

写真出典:くまもとフード