地域振興の道しるべ

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ワンランク上の紅葉の名所の作り方

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 上のカエデの写真をご覧になって、普段よく見るカエデと違ってどんなことに気付かれたでしょうか。これ、ハウチワカエデという品種なんですが、気付かれたのは葉が全部黄色、葉の切れ込みが浅い、ギザギザの数が多い、そんなところでしょうか。でも、あともう一つこのカエデの特徴があります。それは葉をよくご覧いただくと分かりますが、殆どの葉が綺麗に水平を保っているということなんです。横から見た写真も下に掲載しておきましょう。

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 カエデの美しさというのは色だけではありません。葉の茂り方を見ても、上を向いたり横を向いたりランダムに茂っている木もあれば、写真のハウチワカエデのように殆どが水平に揃っているものもあります。このような茂り方はハウチワカエデに限ったものではありませんので、今後この点に関しても注意してみると面白いです。すると、池や川面にすべての葉を水平に維持してせり出したカエデがどれほど美しいものであるか、お分かりいただけるでしょう。

 ですから、紅葉の名所を作ろうとした場合、また、将来に向けて新たに木を育てようとされる場合、ただ造園業者にカエデを植えるように依頼しただけでいいものができるとは限りません。もしも私がそのような仕事を任されたとした場合、次のようなことを考えたり、行ったりするでしょう。

・空間的に美しく見える木の配置を考える

・50年先まで木の成長を見通して配置を行う

・透過光による紅葉の醍醐味を味わえるように木を配置する

・時間帯(日射角)による紅葉の見え方を配慮する

・赤、黄、橙に紅葉する品種・株を調べてベストな配置を行う

・植える場所ごとに枝の茂り方において最適な品種を配置する

・山で美しい株を探して、その種から苗を育てておく

・カエデ以外に組み合わせて植える木を選定する

・未来に庭園維持計画を残す

だいたいこれくらいでしょうか。

 計算し尽くして造られた庭園というものは、夢窓疎石が造った天龍寺の庭園のように何百年経ってもきっと大事にされることでしょう。折角造るのなら、末代にも愛される庭園造りを目指したいものです。