AI、IoT、DX、様々なキーワードで将来の仕事のあり方が変わる、あるいは一部の仕事がなくなると言うような記事を最近よく目にします。果たして、このまま時代が進めばデジタル技術を容易に導入できて、それによって中小企業でも生産性が上がるのでしょうか。
ずばり、答えは否です。デジタル技術の殆どは家電製品のように買ってきて据え付けるだけで勝手に仕事をしてくれるわけではありません。どんなデジタル技術を導入するにしても、将来のビジョンとそれに立ち向かうための課題の明確化、その実現方法の検討という段になって初めて、どのようなデジタル技術が有効であるかを見極めに入ります。
そして、その技術を使えるようにするには、自社の仕事のやり方や場合によっては組織構成まで変更したり、デジタル製品そのものも自社業務に合わせて様々な改善を施してこそ成果の出せるケースが殆どです。買ってきて導入するだけで、競争優位に立てるほど今の世の中は甘くありません。
また、すべての業種においてデジタル技術の導入が待ったなしなのかと言うと、そうでもありません。何ヶ月も掛けて職人の手仕事でしかできないような仕事においてデジタル技術で生産性が大きく上がるかと言えば、それはあったとしてもかなり特殊なケースでしょう。
一方、細かい取引がたくさんあるような業種ではデジタル技術の活用は一般に有効です。よって、デジタル技術の活用が有効そうな業種においては、自社の成長のための将来ビジョンを立てた上で、課題を明確にし、その解決にどんなデジタル技術が有効であるかを検討されるといいでしょう。待っているだけでデジタル技術が微笑みを浮かべてやってきてくれることはないのです。何もしないでやってくるとしたら、それはうまく導入・活用できた競合他社が牙を剥いて襲いかかってくるだけです。
ただ、デジタル技術の導入に割ける費用が中小企業で潤沢にあることは稀でしょう。また、ITの専門家もいない場合が多いため、業者の言いなりにならないよう、第三者的に目利きをしてもらえる業者を間に挟んで導入されることをお勧め致します。