地域振興の道しるべ

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タワマン建設は地域にプラスか?

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 新幹線を除く鉄道在来線における運行上の上限速度は、運転士が踏切になにか異常を発見したとき、安全に停止できるかどうかで決まるそうです。速度をどこまで上げていいかは電車の最高速度性能ではなく、制動という安全サイドの技術に委ねられているわけです。

 最近何かと話題に上るタワーマンションですが、その規模や棟数次第では地域経済を潤すのは間違いなさそうです。また、自治体としては人口増による住民税の増収が期待できますが、竣工後暫くの年数は子育て世代が多くを占めるため、育児、教育、市町村によっては小児医療に関わる支出などが急増することも想定しておく必要がありそうです。

 私はタワーマンションに住んだことがあるわけでもなく、高層建築に対して造詣が深いわけでもありません。ただ、素人の私が素朴に感じる不安、それは、タワーマンションが今後50年後、100年後も人の手に負えるものであり続けるかという点に尽きます。

 いま日本を含む先進国の経済状況はピークを少し過ぎた下降途中というところでしょうか。今後、この流れが反転してまた上昇していけば良いのですが、今の日本の状況を見る限りそのような兆候はまだ感じられません。このまま経済が下降を続けるようであれば、経済状況はおろか、建築技術すら後退を招くことだってありえます。

 また、建設業界は現在ですら外国人労働者なしには成り立たないほどの担い手不足です。これは、とりわけメンテナンスに手間の掛かるタワーマンションにおいて将来問題とならないのでしょうか。いまあるタワーマンションが寿命を迎える時代においても、同じ地域でタワーマンションの需要はまだあるのでしょうか。もしも、長期間の停電を伴うような大災害や戦争が発生したあとでも人々はタワーマンションを求めるのでしょうか。さらに大地震が来て傾斜が1度でも傾くようなことが生じた場合、安全に解体ができるでしょうか。

 工事に足場が使えないような高層建築を住宅密集地にも建ててしまうことが、今後人間にとってコントロールの限界を超えたことにはならないのか、私には判断ができないのです。私の思うことが杞憂であればいいのですが、もしもタワーマンションが限界マンションになってしまった場合、その高さゆえ周辺住民の不安ははかりしれません。

 いくら高い建物を建てる技術があるからと言って、将来の社会情勢の変化まで想定したメンテナンスの維持や解体、建替えなど出口戦略を明確にすることがどれほど話し合われているのか、そのことが気になって仕方がないのです。

 運行上限速度を上げるため、踏切を排除して急停車する必要性を極力排除した新幹線のように明確な根拠があればいいのですが、タワーマンションにおいても将来のことまで含めた安全に関わる問題は慎重に検討していただきたいと思います。